木造住宅の解体とアスベスト
執筆・編集:石綿チェック運営事務局更新日:
結論
住宅を解体するときは、元請業者が工事の前に建物の材料すべてについて石綿の事前調査を行い、結果を発注者に書面で説明し、現場に掲示します。解体部分の床面積が80㎡以上なら調査結果の行政報告も必要です。戸建て住宅にも屋根や外壁などにレベル3の石綿含有建材が使われていることがあり、見つかれば撤去の方法と費用が変わります。
解体の前に必要な手続の流れ
大気汚染防止法は、発注者に対して、受注者が行う調査の費用を適正に負担するなど、調査に協力することを求めています。
- 1事前調査:元請業者が、解体する建物の材料すべてについて、設計図書などの書面と現地の目視で石綿の有無を確認し、分からないものは分析するか、石綿ありとみなして必要な措置をとります(吹付け材はみなしができず、分析が必要です)。建築物の調査は2023年10月以降に着工する工事から有資格者が行います。戸建て住宅は、一戸建て等石綿含有建材調査者も調査できます。
- 2発注者への説明:受注者は、調査の終了日、方法、結果を書面で発注者に説明します。
- 3行政報告:解体部分の床面積の合計が80㎡以上の場合、元請業者が着工前に、労働基準監督署と都道府県等へ報告システムで調査結果を報告します。
- 4掲示:石綿の有無にかかわらず、調査結果を工事現場に掲示します。
- 5届出:吹付け材や保温材などのレベル1・2の建材がある場合は、工事開始の14日前までに届け出ます。
- 6記録:事前調査の記録は3年間保存します。
戸建て住宅で見つかりやすい石綿含有建材
国土交通省のアスベスト対策Q&Aは、戸建て住宅で吹付けアスベストが使われている例は少ないものの、全くないわけではないとしています。厚生労働省の建築物石綿含有建材調査者講習標準テキストは、成形板などのレベル3の建材は戸建て住宅にも幅広く使われているとしています。国の建材データベースにもとづく主な製造時期は次のとおりです。
- 屋根:住宅屋根用化粧スレート(1961〜2004年)、下葺きのルーフィング(1937〜1987年)
- 外壁・軒天:窯業系サイディング(1960〜2004年)、けい酸カルシウム板第1種(1960〜2004年)、フレキシブル板(1952〜2004年)
- 内装・床:せっこうボード(1970〜1986年)、ビニル床タイル(1952〜1987年)、ビニル床シート(1951〜1990年)、壁紙(1969〜1991年)
- 外壁の仕上塗材・下地調整塗材:製品により1970年代〜2005年
石綿含有建材があると、解体の進め方が変わる
標準テキストによると、石綿含有成形板などは、切断・破砕せずにそのまま建物から取り外すことが原則です。それが技術上著しく困難な場合や作業の性質上適さない場合は、薬液などで湿らせる措置が必要になります。そのため、屋根のスレートや外壁のサイディングなどは、重機で建物ごと壊す前に、手作業で取り外す工程が加わることがあります。
取り外した石綿含有建材は、他の解体廃材と分けて運搬・処分します。工程と費用に影響するため、解体の見積では石綿含有建材の撤去と処分が、どの項目に、どの数量で入っているかを確認してください。
解体の見積で確認すること
- 1事前調査の費用と期間は見積に含まれていますか。調査は誰が、どの資格で行いますか。
- 2石綿含有建材が見つかった場合の撤去方法、運搬・処分費、工期の変化はどう決まりますか。
- 3行政報告、掲示、近隣への説明は誰が行いますか。
- 4敷地内の物置や車庫なども解体する場合、調査の対象に含まれていますか。
解体工事での役割分担
| 項目 | 主な役割 | 確認する記録 |
|---|---|---|
| 発注者(所有者) | 調査費用の負担など調査への協力 | 調査結果の書面説明を受け取る |
| 元請業者 | 事前調査、80㎡以上の報告、掲示 | 報告の控え、調査の記録(3年保存) |
| 調査者 | 書面・目視・分析による調査 | 調査報告書 |
注意点
- 解体の費用や工期は建物と現場の条件で大きく変わり、石綿含有建材の有無は事前調査の結果で確認します。
具体例
相続した築45年の木造2階建て(延べ床面積約110㎡)を解体する場合、解体部分の床面積が80㎡以上なので、元請業者による調査結果の行政報告が必要になります。屋根のスレートや外壁のサイディングが石綿を含む場合に備え、手作業での取り外しと処分が見積のどこに入っているかを確認します。
よくある質問
家の解体でアスベストの報告が必要になるのはどんなときですか?
解体部分の床面積の合計が80㎡以上の建築物の解体工事では、元請業者が着工前に事前調査の結果を労働基準監督署と都道府県等へ報告します。80㎡未満でも事前調査と掲示は必要です。
解体のアスベスト調査費用は誰が払いますか?
調査を行うのは元請業者ですが、大気汚染防止法は発注者に、調査費用を適正に負担するなど調査への協力を求めています。費用が見積に含まれるかを最初に確認してください。
屋根のスレートに石綿があると解体費用は上がりますか?
石綿含有成形板は切断・破砕せずに取り外すことが原則なので、手作業での取り外しや分別した運搬・処分が加わり、工程と費用に影響することがあります。見積の項目で確認します。
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