屋根材のアスベスト確認
執筆・編集:石綿チェック運営事務局更新日:
結論
屋根改修では、見える屋根材だけでなく、下葺材、接着材、下地、重ね葺きで残る旧屋根材を、予定する作業ごとに確認します。色、模様、建築年などの見た目だけでは石綿の有無を確定できません。
屋根に使われた石綿含有建材と製造時期
厚生労働省の建築物石綿含有建材調査者講習標準テキストは、国土交通省・経済産業省の石綿含有建材データベースをもとに、屋根に関係する石綿含有建材の製造時期を示しています。製造時期は候補を絞る手掛かりで、個別の屋根材に石綿が含まれるかどうかを決めるものではありません。
- 住宅屋根用化粧スレート(図面では「コロニアル」「カラーベスト」などと書かれることがあります):1961〜2004年
- 石綿含有ルーフィング(屋根材の下に敷く下葺材。図面では「アスファルトルーフィング」「アスファルトフェルト」):1937〜1987年
- 石綿含有スレート波板(主に工場・倉庫などの屋根や外壁):大波1931〜2004年、小波1918〜2004年
- 金属折板屋根の裏に貼られた断熱材(石綿フェルトなど):工場・倉庫・体育館などで1958年ごろから使われた金属製折板の結露対策。保温材・耐火被覆材・断熱材をまとめたレベル2の建材に分類されます。
見える屋根材の下にも、別の材料がある
住宅の化粧スレートは野地板の上に葺かれ、その下には防水のためのルーフィングがあります。標準テキストは、石綿含有ルーフィングは黒いロール状の材料で、目視で石綿を含むかどうかを見分けるのは極めて困難としています。軒・棟・けらば・谷・壁との取り合いなど、雨仕舞いの部分にも使われています。
工場などのスレート波板は、通常は野地板を使わずに葺かれます。金属折板屋根の裏の断熱材のうち石綿紙は、貼られているように見えないことがあり、見逃さないよう注意が必要とされています。石綿を含む発泡断熱材の中には、石綿を含まない発泡ポリエチレンと見た目が似ているものもあります。
2006年9月より前の資料だけで「石綿なし」としない
労働安全衛生法で規制する石綿の含有率が現在の「0.1%超」になったのは2006年9月です。厚生労働省の通知(平成30年4月20日 基安化発0420第1号)は、2006年9月以前の情報をもとに石綿なしと判断しないよう示しています。古いカタログや製品資料に石綿を含まないと書かれていても、当時の基準による記載の可能性があるため、扱いを調査者に確認してください。
塗装・カバー工法・葺き替えで確認範囲が変わる
- 塗装:高圧洗浄や下地調整で屋根材の表面に手を加えます。どの作業が屋根材に触れるか、事前調査の範囲を工事担当者に確認します。
- カバー工法(重ね葺き):既存の屋根を残して新しい屋根材を重ねるため撤去は少なくなりますが、固定具や下地材の取り付けで既存の屋根材や野地板に穴を開けることがあります。
- 葺き替え:既存の屋根材とルーフィングを撤去するため、両方が調査の対象になります。撤去材の運搬・処分が見積のどこに含まれるかも確認します。
屋根工事の見積で聞くこと
- 1予定する工法で、既存の屋根材・ルーフィング・野地板のどこに手を加えますか。
- 2事前調査は誰が、どの資格で、どの範囲を行いますか。図面や製品表示で確認できない層はどう扱いますか。
- 3石綿含有とみなす場合と分析する場合で、工程と費用はどう変わりますか。
- 4撤去材や端材の運搬・処分は、見積のどの項目に含まれていますか。
材料層と証拠のチェック
- 見える屋根材と、その下の下葺材・接着材・下地を分ける
- 重ね葺きで残る旧屋根材と新設材を別材料として記録する
- 塗装、部分補修、穴あけ、重ね葺き、撤去の影響範囲を確認する
- 見た目、色、模様、建築年だけでは石綿の有無を確定できないため、資料と有資格者の現地確認を組み合わせる
注意点
- スレートらしい見た目、屋根の色、建築年だけでは個別材料の石綿有無を確定できません。
具体例
築30年の戸建てで化粧スレート屋根のカバー工法を検討する場合、屋根伏図や仕様書から屋根材の製品名と過去の塗装・補修の履歴を集めて施工者に渡し、固定具が貫通する旧屋根材・ルーフィング・野地板を調査範囲に含めるかを確認します。
屋根のどの層を確認しますか?
- スレート等の屋根材と棟・役物
- ルーフィング等の下葺材、接着材、下地
- 重ね葺きで残る旧屋根材と新設材
工法ごとに影響範囲はどう変わりますか?
- 塗装・洗浄・部分補修で触れる表面と端部
- 固定具を追加する重ね葺きで貫通する層
- 撤去で取り外す屋根材、下葺材、下地
よくある質問
屋根スレートの見た目で石綿なしと分かりますか?
分かりません。製品表示、図面、施工・改修時期、メーカー資料を照合し、見える屋根材以外の層も確認します。
重ね葺きなら旧屋根材の調査は不要ですか?
旧屋根材を残しても固定具や下地工事が触れる場合があります。残す層と触れる層を施工者・調査者へ伝えてください。
屋根改修の見積前に何を用意しますか?
屋根伏図、仕様書、製品表示、過去の塗装・補修・重ね葺き履歴、予定工法と触れる範囲を用意します。
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