アスベストと建築年・築年数
執筆・編集:石綿チェック運営事務局更新日:
結論
築年数は石綿使用の歴史を確認する手掛かりですが、完成年だけで含有なしとは判断できません。竣工年、材料の製造時期、増築・改修時期、工事対象部位に残る材料を分けて確認し、情報が不足する場合は含有の有無を確定しません。
建物の年齢と、工事で触る材料の履歴を分ける
最初に建物全体の完成時期を記録し、次に今回触る場所だけの改修履歴を並べます。外壁の塗り替え、天井の張り替え、増築では、変更した層と残した層が異なる場合があります。「改修済み」という一言だけでは、下地まで交換したか分かりません。
- 建物全体:完成・増築の時期と、その根拠になった図面や記録。
- 対象部位:部屋、壁面、天井など、今回の工事で影響する場所。
- 部位の変更:改修した時期、施工内容、交換・撤去した材料と残した材料。
- 未確認事項:資料に記載がない層、製品名、工事範囲。推測した年代と記録上の年代を混ぜない。
仮想例:天井を張り替えた年しか分からない
所有者が「数年前に天井を改修した」と聞いていても、請求書には「天井仕上げ工事一式」としか書かれていない例です。この記録からは下地も交換したか、別の材料を上から張ったかを読み取れません。
所有者は当時の見積書、工事写真、仕様書の有無を探し、施工会社や管理者へ交換範囲を質問します。分からなければ「改修時期は分かるが、下地の交換は不明」と調査担当者に渡します。年代が新しいという理由で、見えない材料まで新しいと置き換えないことが確認の要点です。
材料層と証拠のチェック
- 確認済証・竣工図等の新築時期
- 増築、改修、在庫品使用の可能性がある施工時期
- 製品表示・メーカー記録にある製造時期
- 見た目、色、模様、建築年だけでは石綿の有無を確定できないため、資料と有資格者の現地確認を組み合わせる
確認のポイント
判断前チェックリスト
- 建物の竣工年と根拠資料を確認する
- 材料の製造時期を別に確認する
- 増築部分の時期と範囲を確認する
- 改修・補修の時期を確認する
- 工事対象部位に残る既存材料を確認する
- 根拠がない日付を不明として記録する
ケース比較
| ケース | 確認する条件 | このページで分かること | 次の確認 |
|---|---|---|---|
| 2006年9月より前の材料が疑われる | 竣工・製造・改修時期 | 年代は手掛かりだが含有を確定しない | 工事対象材料を事前調査する |
| 建物の竣工が2006年9月以降 | 既存材料・改修履歴が未確認 | 竣工年だけで含有なしと判断しない | 工事対象部位の材料情報を確認する |
| 増築・改修時期が複数ある | 部位ごとの日付と材料 | 建物全体を一つの年代で扱えない | 工事対象部位ごとに履歴を整理する |
| 竣工・製造・改修時期が不明 | 不明値を推測しない | 年代から有無を確定できない | 資料と現地情報を追加確認する |
各ケースの根拠にした公的資料は、ページ末尾に掲載しています。
注意点
- 建物完成年と建材製造年は一致せず、増改築や在庫品の使用もあるため、特定の年より新しいという理由だけで調査を省略できません。
具体例
2008年完成の建物でも、既存棟との接続部や移設設備、改修で残された下地がある場合は別年代の材料が混在します。図面の改訂履歴と現地の層構成を確認します。
調査担当者に渡す年代メモ
「建物の完成時期:[ ]/根拠資料:[ ]。今回の工事場所:[ ]。その場所の改修時期と内容:[ ]。交換した材料:[ ]。残した材料・不明な層:[ ]。過去の調査報告書:[あり・なし・不明]。」
資料が複数ある場合は、作成日と対象場所を一緒に記録します。日付が食い違うときは都合のよい方を選ばず、両方の資料を渡して、どの工事や部位の記録かを確認してもらいます。
資料が見つからない場合の次の行動
所有者・管理者・過去の施工会社に、図面、改修見積、仕様書、工事写真、既存の調査報告書が残っているか問い合わせます。資料の不足箇所と予定工事を調査担当者へ伝え、追加で必要な確認を相談してください。資料を探すために仕上げをはがしたり、天井裏や壁内部へ無理に入ったりする必要はありません。
よくある質問
何年築ならアスベストがないと言えますか?
建築年だけで非含有とは確定できません。製造・使用規制の時期と建物の改修履歴は別であり、図面、製品情報、現地確認を組み合わせます。
2006年以降の建物は調査不要ですか?
年だけで調査不要とは判断できません。工事対象、着工条件、使用材料や改修履歴を確認し、現在の事前調査手続に照らして整理してください。
築年が分からない建物はどう調べますか?
登記・確認資料、竣工図、改修記録、製品表示など確認可能な資料を集めます。推定年を確定情報にせず、不明点として調査者へ共有してください。
自分の工事条件を整理する
工事の立場・対象・作業・時期を選ぶと、事前調査・資格・行政報告・届出・記録の確認ポイントを一覧にできます。登録不要で、入力内容は送信されません。
無料で確認する