外壁塗装・外壁改修の前のアスベスト確認
執筆・編集:石綿チェック運営事務局更新日:
結論
外壁の仕上塗材や下地調整材には、石綿を含む製品が販売されていた時期があります。塗り替えの前に高圧洗浄や下地処理で既存の塗膜に手を入れる場合は、どの工程が既存の材料に触れるかを施工業者と確認し、事前調査の範囲と方法を見積に入れてもらってください。見た目や築年数だけで石綿の有無は決められません。
外壁の仕上塗材に石綿が使われた理由と時期
厚生労働省の建築物石綿含有建材調査者講習標準テキストは、仕上塗材は数ミリの厚さで模様を付ける塗装材料・左官材料で、塗膜のひび割れや施工時のダレを防ぐため、主材の中にクリソタイルが少量添加されていた時期があると説明しています。石綿を含む可能性があるのは、主材と下地調整塗材です。業界団体(日本建築仕上材工業会)のアンケート調査による主な販売期間は次のとおりです。
- 薄塗材(リシンなど):セメントリシン1981〜1988年、樹脂リシン1979〜1987年、弾性リシン1973〜1993年
- 複層塗材(吹付けタイル):アクリル系1970〜1999年、セメント系(CE)1973〜1999年、防水形の複層弾性1974〜1996年
- 厚塗材(スタッコ):セメントスタッコ1975〜1999年、樹脂スタッコ1975〜1988年
- 下地調整塗材:セメント系フィラー1970〜2005年、樹脂系フィラー1982〜1987年
見えている塗膜の下にも、別の層がある
標準テキストは、外壁の仕上塗材は面によって異なる材料が使われる可能性があり、劣化により塗り直されることが多く、竣工時の材料が残っていないこともあるとしています。古い材料の上に塗られていることもあるため、四方の壁が同じように見えても、各面ごとに塗装の各層と下地材を確認する必要があります。
過去に一度塗り替えている家では、今の塗膜は新しくても、その下に古い仕上塗材や下地調整材が残っていることがあります。前回の塗装の見積書や保証書が残っていれば、使った塗料の名前と、下地をどこまで処理したかを確認しておくと、調査の範囲を決めやすくなります。
塗装工事のどの工程が既存の材料に触れるか
どの工程が事前調査の対象となる作業に当たるかは、工事の内容によって変わります。見積の段階で、既存の塗膜や下地に手を入れる工程と、その範囲を書き出してもらってください。
- 高圧洗浄:古い塗膜の汚れや脆くなった部分を落とします。
- ケレン・下地処理:浮いた塗膜や錆を削り取り、ひび割れを補修します。
- シーリングの打替え:目地の古いシーリング材を撤去し、目地の側面にも工具が入ります。
- 仕上塗材の除去:塗膜を剥がしてから塗り直す場合は、既存の仕上塗材そのものを除去します。
石綿を含んでいた場合に求められる措置
厚生労働省によると、石綿を含む仕上塗材をディスクグラインダーなどを使って除去する工事では、作業場を隔離する必要があります(2021年4月から)。標準テキストは、仕上塗材の除去では薬液などで湿らせることを基本としています。また、石綿等を切断などする作業では、湿潤な状態にする、除じん性能のある電動工具を使うなどの措置が必要です(2024年4月から)。
こうした措置の有無で、足場の養生、工期、費用が変わります。塗装の見積を比べるときは、事前調査の費用と、石綿を含んでいた場合の工法・追加費用の決め方が書かれているかを確認してください。
塗装業者に聞くこと
- 1高圧洗浄、ケレン、シーリング打替えで、既存の塗膜や下地のどこまでに手を入れますか。
- 2事前調査は誰が、どの資格で行いますか。費用と期間は見積に含まれていますか。
- 3石綿を含む仕上塗材や下地調整材があった場合、除去の方法、養生、工期、追加費用はどうなりますか。
- 4前回の塗装の記録がない面は、どのように調べますか。
塗り替え前に確認すること
- 面ごとの仕上げの種類と、過去の塗り替えの回数
- 高圧洗浄・ケレン・シーリング打替えで触れる層
- 下地調整材(フィラー)の種類
- 石綿を含んでいた場合の工法と追加費用の決め方
注意点
- 販売期間は業界団体のアンケート調査による目安で、外壁に使われた製品の石綿の有無を決めるものではありません。
具体例
1995年に建てて2010年に一度塗り替えた戸建ての外壁を再塗装する場合、今の塗膜は新しくても、その下に竣工時の吹付けタイルやフィラーが残っている可能性があります。前回の塗装の見積書を探し、高圧洗浄とケレンで触れる層を塗装業者と確認して、事前調査の範囲を決めます。
よくある質問
外壁塗装の塗り替えでもアスベストの調査が必要ですか?
高圧洗浄、ケレン、シーリング打替えなどで既存の塗膜や下地に手を入れる場合は、どの工程が事前調査の対象となる作業に当たるかを施工業者と確認し、見積に入れてもらいます。
2000年代の家なら外壁にアスベストは使われていませんか?
断定できません。業界団体の調査では、セメント系フィラーなどの下地調整塗材は2005年まで販売された例があり、塗り重ねで古い層が残ることもあるため、資料と調査で確認します。
外壁の仕上塗材に石綿があったら塗装できませんか?
石綿を含んでいても、湿潤化や隔離などの措置をとって工事を進める方法があります。工法、養生、工期、追加費用を施工業者に確認し、石綿を含む層をむやみに削らないようにします。
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