モルタル・左官材のアスベスト確認ガイド
別名: 左官モルタル、モルタル混和材、蛇紋岩系混和材
執筆・編集:石綿チェック運営事務局更新日:
結論
一般的なモルタルという名称だけで石綿含有とは判断できません。一方、厚生労働省は蛇紋岩系の左官用混和材でクリソタイルが確認された事例を示しているため、配合記録、袋・製品名、施工業者の記録を探し、仕上塗材や下地層とも分けて確認します。
材料層と証拠のチェック
- 新築時と補修時の配合・製品記録を分ける
- 左官用混和材、補修材、仕上塗材を別材料として扱う
- はつり、研磨、穴あけで触れる深さを確認する
- 見た目、色、模様、建築年だけでは石綿の有無を確定できないため、資料と有資格者の現地確認を組み合わせる
使われやすい場所と形状
- 家屋外壁などのモルタル塗りに加えられた粉状の左官用混和材
- 左官仕上げの壁・天井で、モルタル下地、下地調整材、仕上塗材が重なる箇所
- 補修や増築で異なる配合・施工時期のモルタルが継ぎ足された箇所
- 開口補修、配管埋戻し、耐震改修の周囲では、既存モルタルと後施工の補修材が接し、外観だけでは施工単位を分けにくい場合があります。
年代と証拠の限界
- 厚生労働省は2004年の通知で、市販の蛇紋岩系左官用モルタル混和材の一部について、無石綿等の表示があってもクリソタイルを含む分析結果が得られたと示しました。これは特定の混和材に関する証拠で、モルタル全般の含有を意味しません。
- 同通知は蛇紋石の種類がX線回折では区別しにくいことを踏まえ、DTG法による確認を示しています。外観、工事年、一般名だけでなく、混和材の原料と適切な分析方法が重要です。
- 通知が示す分析上の注意は特定の蛇紋岩系混和材に関するものです。別のモルタルや仕上塗材へ一律に結論を広げず、対象製品と試料の層を分析担当者へ伝えます。
集める図面・表示・資料
- 施工仕様書、配合表、材料納品書、左官業者の記録から、混和材の商品名・メーカー・原料を探す
- 外壁・室内壁の補修境界、増築部、異なるこて仕上げを図面と写真に記録し、施工単位を分ける
- 仕上塗材、下地調整材、モルタル層、ラス・ボード下地を混同せず、工事で触れる各層を一覧化する
- 蛇紋岩系混和材の疑いが資料から残る場合は、通常の外観確認ではなく分析方法を調査・分析担当者へ相談する
見た目だけでは含有を確定できない理由
- 砂粒、色、こて跡、硬さから、モルタルに使われた粉状混和材の鉱物種や石綿含有を判断できません。
- 塗装や仕上塗材がモルタル表面を覆い、補修部でも元の層と新しい層が外観上似ることがあります。
- 袋の表示や配合記録が残っていない場合、一般名、施工年、建物用途を組み合わせても混和材の原料は確定せず、画像による判定で代替できません。
安全な次の行動
- 『モルタル』だけで一括せず、施工単位と各層を整理した資料を調査担当者へ渡す
- 試し削り、はつり、研磨で粉じんを発生させず、資料確認前は表面をむやみに壊さない
- 混和材の情報が得られない場合は、対象範囲、みなし又は分析、分析方法を工事前に協議する
- 調査結果では仕上塗材、下地調整材、モルタル、補修材のどの層を確認したかを見て、隣接する未確認層へ結論を広げない
この建材についてのよくある質問
古いモルタル壁はすべてアスベスト含有ですか?
そうではありません。公式資料が注意を示すのは蛇紋岩系左官用混和材など特定の材料です。配合・製品記録と層構成を確認し、年代だけで結論を出しません。
モルタル混和材は通常の建材分析で分かりますか?
蛇紋岩系材料では鉱物の識別に固有の注意があります。疑いがあることを分析担当者へ伝え、対象に適した方法と試料の取り方を確認してください。
モルタルの表面だけ採取すれば下地まで確認できますか?
表面には塗料や仕上塗材があり、その下に下地調整材、モルタル、補修材が重なることがあります。一つの試料でどの層まで判断できるかを自己判断せず、断面構成と工事範囲を分析担当者へ伝えてください。