アスベスト除去費用の目安と見積の読み方
執筆・編集:石綿チェック運営事務局更新日:
結論
国土交通省のアスベスト対策Q&Aは、吹付け材の除去費用の目安を、処理面積300㎡以下で1㎡あたり2.0万〜8.5万円、300〜1,000㎡で1.5万〜4.5万円、1,000㎡以上で1.0万〜3.0万円と示しています。2007年の施工実績にもとづく古い数値で、部屋の形や天井の高さ、設備の有無で大きく変わるため、実際の金額は調査結果と工事条件をそろえた見積で比べてください。
国土交通省が示す吹付け材の除去単価
国土交通省のアスベスト対策Q&Aは、処理する面積によって単価に差があるとして、2007年1月から12月の施工実績データから算出した吹付け材の除去単価を示しています。
- 処理面積300㎡以下:1㎡あたり2.0万〜8.5万円
- 処理面積300〜1,000㎡:1㎡あたり1.5万〜4.5万円
- 処理面積1,000㎡以上:1㎡あたり1.0万〜3.0万円
この単価を使うときの注意
単純計算では、天井の吹付け材100㎡を除去する場合に200万〜850万円程度になりますが、これは相場の確認に使う程度にとどめ、契約金額の根拠にはしないでください。
- 処理件数の上下15%を除いた範囲で、施工条件によってはこの幅を大きく上回ったり下回ったりすることがあると注記されています。
- 部屋の形、天井の高さ、固定された機器の有無などで、着工前の準備や仮設の程度が大きく異なり、費用の幅が生まれます。特に300㎡以下は面積が小さいため幅が非常に大きくなります。
- 2007年のデータなので、その後の人件費・資材費の変化や、2020年以降の石綿則・大気汚染防止法の改正で加わった作業・記録の手間は反映されていません。
- 対象は吹付け材の除去です。スレートやボードなどの成形板(レベル3)の撤去、仕上塗材の除去、解体工事全体の費用とは別に考えます。
費用を大きく左右する作業の中身
厚生労働省の建築物石綿含有建材調査者講習標準テキストによると、吹付け材や保温材などのレベル1・2の建材を切断などして除去するときは、作業場所を負圧に保って周囲から隔離する必要があります。除去後、隔離を解く前には、必要な知識を持つ者が取り残しがないかを目視で確認し、記録を発注者に報告します。
レベル1・2の建材がある工事では、工事開始の14日前までに労働基準監督署と都道府県等への届出も必要です。見積では、隔離養生と負圧設備、届出と掲示、写真による作業記録、取り残しの確認、廃棄物の運搬・処分、天井などの仕上げの復旧が、どの項目に含まれているかを確認します。
補助金で負担が下がるのは吹付け材
国の「住宅・建築物アスベスト改修事業」は、社会資本整備総合交付金の一部として、地方公共団体を通じて行われます。除去・封じ込め・囲い込みの補助の対象になるのは、吹付けアスベスト等が施工されている住宅・建築物です。民間の除去工事では、国の負担分は除去等に要する費用の3分の1か、地方公共団体が補助する額の2分の1の、いずれか低い額とされています。
制度がない自治体もあり、実際の補助額は自治体の要綱で決まります。国土交通省は、調査の補助について、交付決定の通知を受けてから調査者と契約するよう案内しています。除去工事でも、契約の前に窓口で手順を確認してください。
除去の見積で確認すること
- 1処理面積と対象の範囲は、事前調査の結果(どの材料が、どこに、どれだけあるか)と一致していますか。
- 2隔離養生、負圧・集じん設備、前室などの仮設費はどの項目に入っていますか。
- 3届出、掲示、作業の写真記録、取り残しの確認と報告は、誰が行い、費用に含まれていますか。
- 4除去した石綿含有廃棄物の運搬・処分は含まれていますか。
- 5除去後の天井・壁などの復旧は含まれていますか。含まれない場合、別の工事として誰に頼みますか。
- 6工事中に図面にない吹付け材などが見つかった場合、追加費用はどう決まりますか。
除去見積の比較項目
| 項目 | 見積に含む内容 | 比較時の質問 |
|---|---|---|
| 対象と面積 | 調査結果にもとづく材料・範囲・面積 | 図面外で見つかった場合の扱い |
| 隔離・仮設 | 隔離養生、負圧・集じん設備、前室 | 仮設費がどの項目にあるか |
| 手続・記録 | 届出、掲示、写真記録、取り残し確認 | 誰が行い、費用に含むか |
| 処分・復旧 | 石綿含有廃棄物の運搬・処分、仕上げの復旧 | 別工事になる範囲はどこか |
注意点
- 国土交通省の単価は2007年の施工実績にもとづく吹付け材の目安で、現在の人件費や改正後の作業・記録の手間、成形板や仕上塗材の撤去費用は含まれていません。
具体例
事務所の機械室天井に吹付け材が約80㎡ある場合、国の単価表では300㎡以下の区分に当たり、単純計算で160万〜680万円と幅が広くなります。二社の見積を、隔離・負圧設備、届出と記録、処分、天井の復旧の項目にそろえて比べ、補助の対象になるかを契約前に自治体へ確認します。
よくある質問
アスベスト除去は1㎡あたりいくらかかりますか?
国土交通省は吹付け材の目安として、処理面積300㎡以下で2.0万〜8.5万円、1,000㎡以上で1.0万〜3.0万円などを示しています。2007年のデータで条件により大きく変わるため、見積で確認してください。
処理面積が小さいと除去単価は高くなりますか?
国土交通省の目安では面積が小さいほど単価の幅が大きく、300㎡以下は特に幅が広いとされています。隔離や仮設の準備は面積が小さくても必要になるためです。
封じ込めや囲い込みなら除去より安く済みますか?
工事の費用は抑えられる場合がありますが、材料は建物に残ります。国土交通省は、封じ込めた場合も将来の改修や解体時には再度除去工事が必要になると説明しています。
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