アスベスト検査機関・分析会社の選び方
執筆・編集:石綿チェック運営事務局更新日:
結論
分析機関は順位ではなく、方法と対象繊維、試料ID、材料層、納期、報告書、追加条件を同じ依頼内容で比較します。本サイトは事業者を推薦せず、広告・紹介などの利害関係と選定理由を分けます。
分析結果は「送った試料」についての結果です
厚生労働省の建築物石綿含有建材調査者講習標準テキストは、分析結果は実際に分析された試料だけに関係し、採取した試料が代表的なものでなければ、その結果も材料全体を代表しないと説明しています。分析機関を比べる前に、どの材料を、どこから、いくつ採るかを調査者と決めておくことが、結果を工事に使えるかどうかを左右します。
同じテキストは、厚生労働省通知(平成30年4月20日 基安化発0420第1号)に基づき、同一と考えられる建材の範囲ごとに区別して分析判定し、原則として3か所以上から試料を採取することを示しています。色、形、硬さ、継ぎ目などが異なる材料は、別の建材製品として別々に採取し、混ぜないことが重要とされています。
分析方法によって、採取量と試料の扱いが変わる
建材の石綿分析には JIS A 1481 の複数の方法があり、方法ごとに必要な採取量や、複数か所の試料を混ぜるかどうかの考え方が異なります。依頼先がどの方法で分析するのかを先に確認し、採取量を分析機関と事前に協議することが、標準テキストでも望ましいとされています。
- JIS A 1481-1(偏光顕微鏡法など):吹付け材等は10㎤、成形板等は1㎤で分析可能とされています。均一でない材料は複数か所から採り、それぞれ分析します。
- JIS A 1481-2:吹付け材等は10㎤、成形板等は100㎠または10㎤とされ、原則として3か所以上から採った試料を等量混合して分析に使います。
- 厚生労働省の「アスベスト分析マニュアル」では、吹付け材等10㎤、成形板等100㎠が採取量の目安です。
- 接着剤・板材・塗装など層になった建材は層ごとに分析し、各層の結果を記載した1検体として報告されます。採取は表面から下地まで全層を含めて行います。
- 分析機関によっては、JIS A 1481-1 で分析する場合でも、補助としてX線回折法による定性分析を併用することがあります。
レベル1の吹付け材は「みなし」で済ませられない
標準テキストによると、レベル2・3の建材は分析せずに石綿含有とみなすことも認められていますが、レベル1の建材はみなすことが認められておらず、過去の記録で「石綿あり」とされている場合を除き、試料を採取して分析する必要があります。吹付け材が工事対象に含まれるかどうかで、分析の依頼が必須になるかが変わります。
また、厚生労働省は、蛇紋岩を原料とする左官用モルタル混和材では、一般的なX線回折法だけでは石綿(クリソタイル)と非石綿鉱物を判別できない例があり、DTG法による分析が有効とされたことを通知しています。古いモルタルや左官材が対象に入る場合は、分析方法の選び方を依頼先に確認してください。
分析機関へ送る質問の例
- 1今回の試料はどの JIS A 1481 の方法で分析しますか。補助的な方法を併用する場合、その理由と結果の書き方を教えてください。
- 2試料ごとの必要量はどれくらいですか。再分析が必要になった場合に追加の採取は必要ですか。
- 3層になった試料は層ごとに結果を記載しますか。報告書に試料ID、採取部位、層の区分が載りますか。
- 4受付日と報告日の数え方、追加分析や再分析の条件と費用を教えてください。
- 5モルタルや左官材が含まれる場合、判別が難しい材料への対応方法を教えてください。
分析機関の比較表
| 項目 | 見積に含む内容 | 比較時の質問 |
|---|---|---|
| 方法と対象繊維 | 採用規格と対象範囲 | 依頼目的に適合するか |
| 試料IDと層 | 部位・材料・層の対応 | 現場記録へ戻せるか |
| 納期と追加条件 | 受付・分析・報告日 | 再分析や短納期の条件 |
| 報告書 | 結果、写真、方法、担当 | 必要な記載が揃うか |
| 利害関係 | 紹介・広告・工事受注との関係 | 有料掲載や推薦ではないか |
注意点
- 価格や納期だけで順位を付けず、調査報告へ接続できる試料記録と方法・対象範囲を確認してください。
具体例
天井の吹付け材と床タイルの2種類を分析に出す場合、二社へ同じ試料一覧(試料ID・採取部位・層)と希望報告日を渡し、分析方法、必要な採取量、層別結果の書き方、再分析の条件を同じ表で比べます。
見積前に揃える情報
- 試料ID、採取部位、材料名、層、写真
- 分析の目的、方法、対象繊維
- 受付日・報告日の定義と希望成果物
中立性と利害関係を確認する
紹介料、有料掲載、除去工事の受注との関係がある場合は、選定理由と分析結果の説明を分けて確認します。安さや短納期だけで品質を断定しません。
よくある質問
分析会社は価格だけで選べますか?
価格に加え、方法、対象繊維、試料IDと層の管理、納期の定義、報告書、追加条件を同じ依頼内容で比較します。
報告書で最初に確認する項目は何ですか?
試料ID、採取部位、材料名、層、分析方法、対象繊維、結果が現場記録と対応するかを確認します。
このサイトは分析機関を推薦していますか?
推薦や順位付けはしていません。有料掲載や利害関係に左右されない共通の確認項目を示しています。
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